設立趣意書

 本会の母体となった旧「日本フランス語学会」の発足は1951年に遡る。戦後復興期の1946年に設立された日本フランス文学会の後を追うように、フランス語学研究の推進を目的として、旧日本フランス語学会が1951年に設立された。会員数は最大時で400名を越え、活発な例会活動を行なうとともに機関誌『フランス語研究』を刊行していたが、1962年に日本フランス文学会に統合されて解散し、同時に機関誌も終刊した。しかしその後、日本フランス文学会とは別にフランス語学研究のみを目的とする研究団体を求める声が高まり、解散から5年後の1967年に「フランス語学研究会」として再発足し、機関誌『フランス語学研究』を刊行することとなった。「フランス語学研究会」は1990年に「日本フランス語学会」と名称を改め、今日に至っている。

 本会の目的は、我が国におけるフランス語学研究の振興発展と、若手研究者の育成にある。フランス語学は言語学の一分野であるが、フランスにおいては長い研究の歴史と伝統を持ち、また我が国においても、幕末期に刊行された村上英俊の『三語便覧』(1854年)と『仏語明要』(1864年)に始まる長いフランス語研究の歴史がある。フランス語学研究の成果は、明治期以来刊行されてきた数々の文法書と仏和辞典・和仏辞典に結実し、我が国におけるフランス語教育に多大な貢献をなしてきた。『スタンダード仏和辞典』(大修館書店、)『白水社仏和大辞典』(白水社)、『ロワイヤル仏和中辞典』(旺文社)などは、すべて本会の会員諸氏が世に送った成果である。本会はこのような長いフランス語研究の伝統を継承し、さらに先進的なフランス語学研究を推進すべく、例会活動、講演会やシンポジウムの開催、海外のフランス語学研究者との交流、機関誌『フランス語学研究』の刊行などの学術的活動を行なうために設立されたものである。

Comments are closed.